国民のみなさま 国会議員のみなさま
「遊興」という不明確な基準による新たな規制拡大でなく
真に文化を振興し営業の自由守る法改正を求めます

2015年3月27日 Let’s DANCE 署名推進委員会/Let’s DANCE法律家の会

みなさんの声とご支援が政治を動かそうとしています

 政府は3月3日、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風営法)の一部改正案を閣議決定しました。改正案は、昨年秋の臨時国会に提出され、解散・総選挙のため廃案となっていたものです。現在開会中の通常国会に提出され、審議をへて成立の運びとなる見込みです。
 2012年5月の改正運動スタート以来3年、今ようやくダンス規制法の改正にたどりつこうとしてます。請願署名の呼びかけ13氏・賛同208氏、署名していただいた16万人のみなさま、ご尽力いただいたダンス文化推進議員連盟のみなさまをはじめ、ご支援いただいたすべてのみなさまに心から感謝申し上げます。

「遊興」で新たな規制拡大のおそれ?!

 今回の改正案では、「ダンスさせる営業」を「風俗営業」として規制する枠組みが撤廃されます。ダンスホールについても規制が完全になくなります。一定の条件で深夜営業も可能になります。これらは歴史的な前進です。
 今まで「3号営業」とされていたクラブなどは、新設される「特定遊興飲食店営業」という枠組みに対応することになります。しかし、これには重大な問題があります。
 まず「遊興」の定義が不明確です。現行法の解釈によると、「客に歌、ダンス、ショウ、演芸、映画その他の興行等」「生バンドの演奏等」を見せたり、させる行為などとされており、この解釈通りになれば、ダンスが規制対象として残るだけでなく、生バンド演奏などを行うライブハウスまで規制の対象とされかねません。風営法から「ダンス」が削除されても、「遊興」という形でさらに規制対象が拡大されることが予想されます。
 さらに、「特定遊興飲食店営業」は、「許可」を取ることが必要です。同じような業態である「深夜酒類提供飲食店営業」が、「届出」でいいのに扱いが不公平です。その条件は現行法に準じるといわれており、いまでも広すぎる面積要件(66平方㍍)などが障壁となり、「許可を取りたくても取れない」小規模事業所は引き続きグレイな営業を余儀なくされます。現行法の「深夜遊興の禁止」規定には刑事罰がないのに、改正案では刑事罰を設けるとされています。新たに設ける照度規制や立地規制なども、その要件が不明確で、現在「3号営業」の許可を取得している事業所でも許可が取れなくなる場合すら想定されます。
 多くの関係者から、「これでは実質的に改悪ではないか」「より豊かな文化活動を後押しするための法改正なのに規制が拡大されるなんて」という懸念の声が寄せられるのも当然です。 

この間の国民的コンセンサスやNOON裁判判決の立場を生かしてください

 「ダンスを規制するのはおかしい」という思いが集まりスタートした運動です。この思いは、政府の規制改革会議やダンス議連の論議を通じ、「時代遅れのルールを変えよう」「問題事象はダンスが原因でなく、個別の法律で取り締まろう」というコンセンサスに結んでいます。
 運動や議論と並行して、「許可なくダンスさせた」罪に問われた大阪のクラブNOONの裁判が進みました。1審・大阪地裁は、規制の対象を「性風俗秩序を乱す具体的なおそれがある営業」に限定することを強調し無罪に。2審・大阪高裁でも、「すべてのダンスが3号営業の要件となりうるダンスに当たらない」として時代遅れのルールであることを示し無罪を言い渡しています。
 今後、「遊興」という不明確な枠組みで、ダンスをふくめ広く規制を拡大することになるのなら、国民的な合意や司法の判断とも矛盾しかねません。
 「深夜遊興規定」の撤廃、あるいは定義の明確化で規制の拡大を抑えること、「許可」でなく「届出」とすること、せめて許可要件や立地規制が現在営業している事業者の不利益とならないようにすること──など、この間の国民合意や司法判断を生かし、真に文化の振興と営業の自由を守る改正となることを求めます。

 国民のみなさま 国会議員のみなさま
 国会での慎重な審議と、それを後押しする世論が、私たちの願う改正を進める両輪です。歴史に残る改正を実現するため、最後までのご支援を心から呼びかけます。

改正法案提出にあたっての声明文 PDFファイル