大阪地裁


 「許可なくダンスさせた」として昨年4月摘発された大阪のクラブ元経営者が、「ダンス営業の規制は憲法違反」として争っている裁判の初公判が10月1日、大阪地裁で開かれ、支援者や業界関係者ら約70人が傍聴しました。
 裁判は、大阪の老舗クラブ・ヌーンの元経営者、金光正年さんを被告にしたもの。
 裁判の冒頭、金光さんは、「私の人生で、音楽を愛し音楽を通じて人と交流してきた。様々な先進的なイベントに取り組み、防音や清掃活動など近隣とも良好な関係を築いてきた」と長年にわたるクラブの運営を振り返り、今回の摘発・起訴は「誇りをもち人生をかけてきたことを全否定された思い」とのべ、裁判で風営法の規制目的と対象、ダンスの定義を明らかにしてほしいと強調しました。
 西川研一弁護団長は、風営法のダンス規制による今回の摘発が、(1)表現の自由を侵害している、(2)営業の自由に反する、(3)ダンスの定義が曖昧で適正な手続きに反する──など違憲無効であることを指摘。「ダンス規制への批判や改正を求める世論が広がり、多くの国民が規制の不合理を感じている。これをもって処罰されてよいわけがない」とのべ、無罪を主張しました。
 検察側は、冒頭陳述で、「許可なくダンスをさせる営業であった」とのべ、摘発当日、客にたいし「体を揺らしたり、膝を曲げ伸ばしたり、頭を振るなどのダンスをさせた」と主張しました。
 弁護側は冒頭陳述で、「ライフスタイルや音楽、風俗、文化、法律も時代にそくして変わっているのにダンス規制は変わっていない。 すでに時代遅れの法律であり、人を罰する根拠を有しない」と強調。幕末以来のダンス規制の歴史的経過や、摘発の経緯と不当性、憲法上の問題点などについて、国際刑法学者の高山佳奈子京都大教授の意見も引用して、詳しく解明しました。
 検察側、弁護側がそれぞれ証拠請求と説明を行いました。
 弁護側は昨年4月4日午後9時42分、摘発されたさいに行われていた音楽イベント「ブリティッシュ・パビリオン」にて流されたロックグループ・オアシスやスウェードなどの演奏を約14分間再生し、法廷はさながらライブハウスの様相となり、リズムをとる傍聴者も見られました。
 弁護側は昼休憩をはさみ3時間近く、ダンス規制にかかわる歴史的文書や、風営法の成立・改正過程の国会審議の模様など、オリジナルな資料を示し、同法が時代遅れであることなどを強調しました。
 NOON裁判の今後の日程は以下の通りです。いずれも大阪地裁201号法廷
 10月30日(水)午前10時~午後3時…証人尋問(摘発時のNOONのお客さん)
 10月31日(木)午前10時~午後3時…証人尋問(NOON従業員)
 11月11日(月)午前10時~午後3時…証人尋問(摘発担当警察官など)
 11月13日(水)午前10時~午後3時…証人尋問(摘発を指揮した警察官など)
 12月 4日(水)午前10時~午後3時…証人尋問(学者3人)
 12月16日(月)午前10時~午後3時…被告人質問(金光さん)
  1月 9日(木)午後1時10分~3時(論告弁論)
 判決は来年3月ごろの予定です。
 NOON裁判弁護団は、多くの傍聴を呼びかけています。
(文責:ニドラン・ケースケ)