ダンス議連による「ダンス規制法」(風営法)改正案についての見解

Let’s DANCE!署名推進委員会
Let’s DANCE!法律家の会

ダンス文化推進議員連盟は6月18日に総会を開き、5月16日の総会で確認された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風営法)の改正案について、通常国会への提出を断念し、秋の臨時国会において政府提出法案として成立をめざすことを確認しました。

 関係者や関係省庁からのヒアリング、実態調査などを重ね、改正法案提出に向けて努力いただいているダンス議連の国会議員のみなさんの奮闘に心から敬意を表します。

 私たちの運動がスタートして2年、「ダンス規制法の改正」を求める請願署名には16万人がペンをとりました。呼びかけ人や賛同人、ダンス・音楽関係者、事業者、ユーザー、法律家──多くのみなさんのご支援が「ダンス営業の規制は時代遅れ」という世論を広げ、政治を動かしました。みなさんのご支援にたいし、あらためて心から感謝申し上げます。そして、必ず臨時国会において適切な改正が実現するように引き続きのご支援をお願いします。

改正への第一歩

 5月16日のダンス議連総会で示されていた改正案概要では、「緩和の理由」として「ダンスの立法事実であった売春事犯の多発という事実は確認されず」「酔客、騒音等の問題は…個別の規制で対応可能」「ダンスの意義が変化」などを明記しています。これらは、この間多くの関係者が、「ダンス規制法の改正」を求めてきた主張を正当に反映したものです。

 風俗営業取締法(1948年)制定以来60年以上にわたって記載されてきた「ダンス営業=風俗営業」とする規制が改正されるなら、まさに歴史的な前進となります。あわせて改正案では、ダンス営業(3号、4号)の風俗営業からの除外をはじめ、営業時間の延長や要件の一部緩和が盛り込まれています。

 こうした内容に、長年にわたって「ダンス規制」の矛盾に直面してきた事業者やダンス関係者から期待の声が寄せられています。私たちも、改正への第一歩として、その行方を注目してきました。

改正実現のために

 残念ながら、ダンスクラブの現状についての理解が充分ではないことなどから、改正案は通常国会での提出に至りませんでした。また、既述のとおり「ダンス規制」の不合理性が明らかにされたにもかかわらず、改正案では「ダンス飲食店営業」として、「ダンス」を指標にした規制が残されています。これでは将来にわたり新たな問題の火種を残しかねません。

 今年4月25日、「許可なくダンスをさせた」として摘発された大阪のクラブ事業者の裁判で無罪判決が言い渡されました(検察側が控訴)。判決文のなかで許可が必要な「ダンス営業」を「性風俗秩序の乱れにつながるおそれが、単に抽象的なものにとどまらず、現実的に認められる営業」ときわめて限定したことは重要です。つまり大半の健全なダンス営業に対する規制が違法であることが司法の場で明確にされたのです。

 取締行政の現場において、いまだに「ダンス」の定義が曖昧です。上記判決にそくしても、「性風俗秩序を乱すおそれが」ある「ダンス営業」を、だれがどのように認定し、届出・許可の必要性を判断することができるのか──行政や事業者に無用の混乱を招き、結果として「無届け営業」「無許可営業」とされるグレーゾーンをさらに拡大することにつながる恐れがあります。

 あわせて、6月18日に提示された修正案において「立地規制」や「面積要件」が、従来の「風俗営業」の枠組みのまま引き継がれようとしていることは問題です。5月のダンス議連総会で示された改正案よりも後退したものであり、「営業時間の延長」など規制緩和の恩恵が、実際にはきわめて限定されかねません。「グレーな無届け・無許可営業が広がってしまう」という懸念とともに、「せめて同様に音楽と飲食を扱うカラオケ営業なみに」という強い要望が寄せられるのは当然です。

 私たちは、風営法の枠内から「ダンス」規制を撤廃することこそ合理的な解決の道だと確信します。その途上であっても、事業者や利用者の要望に寄り添った改正を求めたいと思います。

これからも力をあわせ「ダンス規制」の見直しへ

 改正が、市民の多くや事業者が期待するものになることを要望します。そもそも社会における「風俗」自身が時代にあわせ変化するものです。時代や現実に合致した見直しをすすめることを強く求めるものです。

 豊かなダンス文化と経済活動の享受、よりよい地域社会が形成できる法的枠組みをつくりあげてこそ、後世に残る歴史的な改正となりうると確信しています。

 私たちは引き続き、市民・事業者のみなさん、ダンス議連でご奮闘いただいた国会議員のみなさんと連携し、がんばることを表明するとともに、変わらぬご支援を呼びかけるものです。

今後とも引き続きのご支援を何卒よろしくお願い申しあげます。